DXとは | 社会変革を迫るデジタルテクノロジー・関連資格は?

2021年9月に発足したデジタル庁は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進して、官民のインフラを今後5年で一気に作り上げることを目指しています。またデジタル庁が発足する以前から、経済産業省もDXの推進に取り組んできました。

この記事ではDXとは何かという概要と、DXに取り組む際に役に立つ資格や検定試験を紹介します。

DXとは

DXとは、デジタルトランスフォーメーション/Digital Transformationを指した言葉です。

Transformationには「x」は含まれていないのに、なぜDXと略すのでしょうか。その理由は「trans」にあります。英語では「trans」は交差する意味があり、「cross」とほぼ同じ意味の言葉です。「cross」には十字に交差するニュアンスがあり、略す時には「x」を用います。そのため、「Transformation」を「T」ではなく、「X」と略して、DXになります。

DXとは、ICTをただ活用するだけにとどまらず、デジタルテクノロジーを駆使して、経営・事業など企業活動全般や私たちのふだんの生活を変革することを意味します。DXは業務に使うシステムをアップデートするだけでなく全ての工程を見直して生産性を上げるような大きな変化をもたらします。私たちの生活に関わる具体例を以下に紹介します。

物流・配送
AIによってルートを最適化し、倉庫への入出庫管理の効率化のために、配送伝票情報をデジタル化する

ヨガ教室
集客のためのウェブサイトの作成、受講申し込み受付、受講料の決済、レッスンのオンライン配信、受講後のアンケート集計、全てをスマホで実施する

行政
道路が傷んでいる、公園の遊具が壊れているというような地域の問題な情報を専用アプリで送信すると、即座に専門部署に報告された結果、解決までの時間が今までよりも短縮化される

医療
遠隔地から専門医によるオンライン診療を受けて、日常の健康管理はアプリで行う

農業
降水データや気象予測など各種の気象情報を活用し、ドローンや画像認識を活用した農薬散布をおこない、スマホで水田の管理システムやロボットトラクターを操作する

*このようなロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を目指す「スマート農業」を農林水産省も推進しています。

スマート農業:農林水産省

なぜDXが必要なのか

DXの必要性が注目された一つは、2018年に経済産業省が発表した「DX レポート」です。このレポートの副題「ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」にもある「2025年の崖」は、DXとともに話題を集めました。

「2025年の崖」とは、2025年までにDXを達成できなければ崖を下るような危機が起こると警告するものです。「DX レポート」によると、DXを成し遂げることができなかったら、2025年以降に最大で現在の約3倍にあたる年間12兆円経済損失が生じるとされています。

日本でDXを進める際に阻害となるものの一つに、老朽化肥大化複雑化したブラックボックスのような既存の基幹システムレガシーシステム」が挙げられます。「DXレポート」では、「2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現」するという、DXシナリオの実現を目指しています。その実現のために、官民連携して環境整備と課題解決に取り組むとまとめられています。

「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」も含めた、産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進については、こちらで紹介されています。

産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進 (METI/経済産業省)

DXをスムーズに進めるためには、人材育成も必要です。DXは私たちの働き方や仕事内容にも大きな変化を与える結果、「今後発生してくる仕事」や「今できる人がいない仕事」が生じます。そのような仕事を行うスキルを習得することをリスキリングといいます。DX同様にリスキリングも、企業や働く人々が緊急に取り組むことが迫られています。

リスキリングの詳細はこちらで紹介しています。

リスキリングとは |求められる新しい職業能力・DXのための人材育成プログラム
「リスキリング」をご存知ですか?リスキリングとは簡潔にいうと「職業能力の再開発・再教育」のことです。大きく変化し続ける現代社会の中で働き続けるためには必須なものとして、リスキリングは世界各地で行われています。この記事では、リスキリングの概要

DXを学ぶには

「DX」と銘打った資格、検定試験

デジタル トランスフォーメーション検定

デジタル トランスフォーメーション検定は、DXを推進しようとする企業や担当者、プロデューサーとDX実現に向けて議論やアドバイスをできる人材養成のための「DX推進アドバイザー認定試験」と、マネージャーやオフィサーとして活躍できる人材、あるいはサポートできる人材の養成のための「DXオフィサー認定試験」の2つの試験から構成されています。

申し込み者は無料動画講座を視聴することができます。併願割引キャンペーンなどもありますので、公式サイトを確認してください。

DX推進認定試験

受験方法全国11か所の公開会場、またはオンライン
受験料11,000円(学生割引、会員価格あり)
合格点7割以上の正答

DXオフィサー認定試験

受験方法全国10か所の公開会場、またはオンライン
受験料19,800円(学生割引、会員価格あり)
合格点7割以上の正答
DX検定、DXオフィサー、デジタルトランスフォーメーション検定、DX
DXは今や企業がデジタル社会を生き抜くため&#1239...

+DX認定試験

技術者だけでなく、マネジメント層やIT関係以外の業種の人が社内でDX推進する上で欠かせない知識を持つことを証明する資格として、+DX認定試験2021年12月から実施されます。公式サイトでは、模擬試験を無料で受験することができます。

受験方法CBT方式(通年、自宅受験可能)
受験料(未発表)
合格点8割以上の正答
最新システム導入はまだ早い!?貴社がDX化・DX推進ができないたったひとつの理由「我が社が事例の通りにうまくいかない」その理由を教えます。

DXをいつでもどこでも無料で学べる講座

経済産業省は、誰でも無料デジタルスキルを学べるオンライン講座巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」を開設しました。 新しい知識やスキルを習得したいが何をどのように学んだらよいか分からない方向けに、41事業者による102講座が公開されています(10月28日時点)。

巣ごもりDXステップ講座情報ナビ (METI/経済産業省)

データサイエンス系の教材を探していた「にゃんこそば」さんが、AWSPythonも学べる「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」をお勧めしています。

DXを推進する知識や技能を証明する資格、検定試験

ITパスポート

DXだけでなくITの経験や実務経験がなくてゼロから学びたいなら、まずは全ての社会人が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験であるITパスポートへの挑戦をお勧めします。

受験方法CBT試験
全国47都道府県の会場で通年実施
受験料5,700円
(2022年4月から7,500円に改定)
合格点総合評価点600点以上、
かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上
【ITパスポート試験】情報処理推進機構

ITパスポートの詳細は、こちらで紹介しています。

社会人に必須?!ITパスポートとは|取得のメリット、出題傾向、学習内容まで徹底分析
企業のコンプライアンスを守り、社員のITリテラシーを高めるため、新入社員・中堅社員研修の一環としてITパスポートの取得を奨励する企業が増えています。新卒大学生の就活や既卒者の転職活動でも、ITパスポートを取得して履歴書のアクセントにしようと

ITコーディネータ

ITコーディネータは経済産業省の推進資格であり、公式サイトでは「真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、IT経営を実現する人材」を指すと紹介されています。経済産業省が2018年12月に発表し「「DXレポート2(中間とりまとめ)」の中で、政府が中小企業のデジタル化推施策の一つとして、ITコーディネータの普及を展開してきたと記載され、話題を集めました。

受験方法CBT試験
年3回の試験期間内に、全国約300か所の会場から選択して受験
受験料19,800円
資格の更新には、更新手続料(22,000円/年)が必要
合格点非公表
このページは移転しました | ITC試験 ITコーディネータ協会

情報処理技術者試験

ITエンジニアを対象に12種類に分類された国家試験である情報処理技術者試験は、DXへの対応にも有効です。特にDXとの関わりが深いものには、データベースと情報システム、ITの専門家であるデータベーススペシャリスト試験、経営とITを結びつける戦略の専門家であるITストラテジスト試験、システム開発プロジェクトを実行・管理するプロジェクトマネージャ試験が挙げられます。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験制度:試験区分一覧
「情報処理技術者試験」「情報処理安全確保支援士試験」の試験区分一覧です。

12の情報処理技術者試験の中でも基礎的な資格と位置付けられているのが、基本情報技術者試験です。基本情報技術者の詳細は、こちらで紹介しています。

基本情報技術者とは|ITエンジニアが最初に受けるべき国家試験
システムエンジニア(SE)やプログラマーなどIT・通信のエンジニアの求人倍率はこのコロナ禍にあっても4.92倍、人手不足の上に高収入の求人も少なくありません。そんなIT業界への就職・転職を目指す人がぜひ合格しておきたいのが「基本情報技術者」

AWS認定資格

Amazonが提供するAWSAmazon Web Servicesクラウドサービスの中でも人気があるサービスです。AWSを使いこなすスキルを証明するAWS認定資格も、役に立つ資格ランキングでは常に上位を占めています。

AWS認定資格は「基礎」「アソシエイト(中級)」「プロフェッショナル(上級)」と、ジャンルごとの専門知識が求められる「専門資格認定」に分かれていて、11の資格があります。AWSのウェブサイトでは、受験勉強に役立つWebセミナーや、デジタルトレーニングが用意されていますので、興味がある方はまずは試してみましょう。

AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
ロールベースおよび専門知識認定から選択し、業界で広く認知された認定によってクラウドの専門知識を検証します。AWS 認定を詳しく見る

受験勉強の基礎固めや入門版として、多くの方がこちらの本をお勧めしています。

Python

プログラミング言語であるPythonは、人工知能、機械学習、ビッグデータ、ネットワークインフラ(自動運用等)で中心的に使用されています(一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会・ウェブサイトより)。他の言語に比べて分かりやすく学びやすい点が特徴の一つで、近年注目を集めています。

文法基礎を問う「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と、Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」が、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会により実施されています。また、Pythonの設計について記述されたイディオム集であるPythonZenと、標準のコーディング規約としてPEP 8で定義されているものから出題する「PythonZen & PEP 8 検定試験」の無償提供も予定しています。

Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定データ分析試験

受験方法CBT試験
全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターで通年受験可能
受験料10,000円(学生割引あり)
合格点7割以上の正答
Python試験・資格、データ分析試験・資格を運営する一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会のページです。
Pythonの学習の目安と習熟度チェックに試験・資格はいかがですか?

*試験情報は2021年11月現在のものです。

次世代に通用する人材となるためにDXを学ぼう

DXは、企業活動、医療、農業など産業全般、家事の方法などの日常生活、社会全般に大きな変革をもたらしています。DXは私たちの働き方にも影響を与え、新たに発生する職種がある一方で、これから消える職業も出てくるでしょう。

DXで業務改善の必要性を迫られると感じると重荷になりますが、DXによって働きやすくなる面もあります。効率的に業務を進めるために、より自分らしく働くために、DXを学んでみませんか。

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