オンライン講師は青色申告と白色申告どっちがいいの?|講師のための確定申告

個人事業主として開業すると、確定申告すべきかどうか悩む人は多いでしょう。どのくらいの所得を超えたら確定申告すべきなのか、確定申告の種類はどのように選ぶのか、どのような準備が必要なのかなど、調べたり考えたりすることはたくさんあります。

今回は、講師の方のために確定申告について詳しく調べてみました。

確定申告とは

なぜ確定申告が必要なのか

確定申告とは、所得を得た人が所得税を計算し納めるための手続きです。個人事業主では年間48万円以上の所得がある人は、確定申告が必要です。

会社員は所得税が給与から天引きされることがほとんどですが、会社員の場合でも

  • 年末調整していない人
  • 副業での所得が年間20万円以上の人
  • 給与所得が2,000万円以上の人
  • 複数の事業所から給与所得がある人
  • 110万円以上の贈与を受けた人

など、確定申告が必要になる場合もあります。また、確定申告すると還付金が返ってくる場合もあります。例えば

  • 年間10万円以上の医療費を支払った人(世帯で合算)
  • 株取引で損益が出た人
  • 住宅借入金特別控除が受けられる人(返済期間が10年以上など条件あり)
  • 配偶者と離婚や死別した人
  • ふるさと納税した人

などが挙げられます。個人事業主が確定申告をおこなう必要があるかどうかは、開業届を提出しているかどうかに関わらず、所得で決まります。

青色申告と白色申告がある

事業所得を得ている事業主がおこなう確定申告は、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告する場合は、個人事業主の所得として48万円以上(または副業で20万円以上)でなくても(赤字の場合)、確定申告をおこなうメリットがあります。

どちらにもメリット・デメリットがあるので、講師業をされている方はどちらで確定申告をした方が良いのか、よく比較して決めましょう。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の主な違い

青色申告と白色申告の主な違いは

  • 税法上の優遇があるかどうか
  • 提出書類
  • 事前申請の有無

に違いがあります。青色申告は特別控除があり、赤字の繰越など税法上の優遇があります。
ただし提出する書類は白色申告の方は簡易的な帳簿で良いので、帳簿の記載が簡単です。青色申告は複式簿記(または簡易簿記)で、白色申告に比べて帳簿の記載が難しくなります。

また青色申告する場合は、税務署への申請が必要です。

青色申告する場合は申請が必要

青色申告する場合は、「所得税の青色申告承認申請書」と「開業届」を居住地の所轄税務署に届け出る必要があります。開業届の提出期限は開業日から1ヶ月以内ですが、届出を忘れても罰則はありません。

青色申告承認申請書は、すでに開業している人は3月15日までに届け出れば翌年確定申告する際は青色申告が可能です。新規開業の場合は提出期限が開業日から2ヶ月以内です。

[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

また、青色申告承認申請書は、提出したからと言って必ず青色申告しないといけないわけではありません。確定申告が必要な所得(個人事業主で年間48万円、副業で年間20万円)のラインを超えなければ、申請書を提出した後に確定申告しなくても、罰則はありません。

開業届に関しては、以下の記事も参考にしてください。

開業届は出しておくべき?オンライン講師のための開業届の出し方とは
開業届は、フリーランスや個人事業主として、または副業で事業を始める際に税務署に申告するものです。届けを提出するときに、提出時期やあらかじめ決めておいた方が良いことなど、提出する前に考えておくべきポイントがあります。今回は、オンライン講師の方

青色申告のメリット

特別控除がある

青色申告は、10万円・55万円・65万円の特別控除があり、それぞれ条件が異なります。特別控除とは、所得金額から該当額が引かれて税金が計算されるため、その分所得税や住民税の減税に繋がります。

10万円の特別控除の条件は

  • 所得の種類は不動産所得、事業所得、山林所得
  • 控除額の上限は10万円(例えば所得が8万円だと控除額は8万円)
  • 簡易簿記で記帳

55万円の特別控除の条件は

  • 所得の種類は不動産所得か事業所得
  • 控除額の上限は55万円(例えば所得が45万円だと控除額は45万円)
  • 複式簿記で記帳
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告時に提出(この控除の適用を受ける金額を記載し期限内に提出)

65万円の特別控除の条件は、上記の55万円の場合に追加して

  • 仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存していること
  • 確定申告の提出にe-Taxを利用すること

上記2つのいずれかを満たすことが条件です。

電子帳簿保存とe-Taxの利用は、会計ソフトを利用すると比較的簡単にクリアできる条件です。どうせなら、65万円の特別控除を狙えるよう準備しましょう。

No.2072 青色申告特別控除|国税庁

赤字を3年間繰り越せる

青色申告では、赤字を3年間繰越せます。つまり、今年売上金より経費がかかって赤字になり、翌年黒字に転じた場合でも、赤字と黒字を相殺した残金が翌年の所得になるので、黒字の年を単独で確定申告するよりも節税に繋がります。

家族への給与を全て経費に

個人事業主の場合、家族が事業を手伝うケースは少なくありません。親や配偶者、15歳以上の子供に対して給与を支払う場合、全額経費とみなされて所得税の課税対象から外れます。

家族が専ら従事する場合「青色事業専従者」として開業届を出す際に記載が必要です。また、「青色事業専従者給与に関する届出」と「給与支払事務所等の開設届出」の届出もしなければなりません。

白色申告の場合は家族への給与を経費計上できませんが、最大で86万円までなら「事業専従者控除」は受けられます。青色申告の場合は、上限なく全額経費計上できるところがメリットです。

30万円未満の固定資産が経費に

固定資産とは、長期にわたり(1年以上)事業で使用する資産で、通常10万円を超えた場合は「減価償却資産」として耐用年数にわけて経費計上します。

青色申告の場合は少額減価償却資産の特例があり、30万円未満の固定資産を一括で経費計上できるため、所得を減らして所得税の減税に繋がります。ただしこの特例は令和4年3月31日までです。

講師業をされている方は、10万円以上30万円未満の仕事に使用する固定資産(パソコンなど)の購入は、特例の期限までに検討しておきましょう。

貸倒引当金の経費計上

貸倒引当金とは、商品販売などサービス提供した際に代金の支払いが後日になる場合(売掛金)、年末までに回収できなかった時に「貸倒引当金」として経費計上できます。

講師の方は講座代金の支払いを事前支払いにされている方が多いのであまり関係ないかもしれませんが、もし支払いが遅れるような事案が発生したら、「貸倒引当金」として経費計上することが可能です。

青色申告のデメリット

事前申請の手間がかかる

青色申告する場合は、事前に「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出する必要があります。これは提出期限があり、新規開業は開業日から2ヶ月以内、もともと事業を始めている人は青色申告する年の3月15日までと定められています。

この届出をしておかないと、青色申告ができずに白色申告しなくてはなりません。

提出書類が多い

青色申告は、白色申告に比べて提出書類が多く、確定申告の書類作成に時間がかかります。

特別控除55万円、65万円を狙う場合は複式簿記で記帳

青色申告の特別控除55万円、65万円を狙って申告する場合は、帳簿の記帳を複式簿記でおこなう必要があります。これは青色申告をおこなう上で、多くの人がハードルが高いと感じる点ではないでしょうか。

白色申告や特別控除10万円の場合は単式簿記で記載が簡単ですが、複式簿記になると複雑で簿記の知識がない人にとっては面倒に思われることでしょう。

弥生会計やfreee会計などの会計ソフトを使用すると、確定申告時の提出書類や帳簿が比較的簡単に作成できますので、青色申告をしたい方は導入を検討されてはいかがでしょうか。

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白色申告のメリット

白色申告のメリットは、

  • 帳簿の記載が簡単
  • 確定申告で提出する書類が少ない
  • 事前申請の必要がない

です。白色申告の方が青色申告に比べてシンプルで、確定申告に関する知識がなくても書類が作成しやすい点がメリットです。

開業したばかりで所得が少なく、青色申告による恩恵が少ない個人事業主は、帳簿の記載が簡単で確定申告がシンプルな白色申告を選ぶ人もいます。

白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは、節税にならない点です。青色申告のメリットにあるような

  • 特別控除
  • 少額減価償却資産の特例
  • 家族の給与の経費計上
  • 赤字の繰越し

これらが白色申告にはなく、所得が全て所得税の課税対象になります。

確定申告すべきかどうか

確定申告するかどうかのポイント

確定申告するかどうか、考える際に基準となる所得額があります。

1)赤字になる場合
2)個人事業主として年間所得が48万円、または副業として20万円を超えるかどうか

1)の場合は、青色申告をおこなえば赤字の繰越しができるので、青色申告での確定申告をおすすめします。

2)の場合、所定の金額を超えていなくても確定申告した方が良い人もいます。源泉徴収税を取引先の企業等が支払っている場合は、源泉徴収税の還付が受けられます。

また、確定申告する場合は住民税の申告は必要ありませんが、事業所得があっても確定申告しない場合はお住まいの市町村役場で住民税申告をしなければなりません(税法上の扶養に入っている場合は除かれるなどの条件あり)。

確定申告をしない場合は、市町村役場で住民税申告について確認しておきましょう。

講師は青色と白色どちらで確定申告すべきか

青色申告の方が提出書類が多く帳簿の記載が複雑になりますが、特別控除などの税法上のメリットが大きいので、青色申告での確定申告をおすすめします。

事業を始めた初年度から青色申告をおこなう場合は「青色申告承認申請書」を期限内に忘れずに提出しましょう。

確定申告に必要な書類

青色申告

青色申告の場合は、特別控除の額によって、また赤字で申告するかどうかで提出書類が変わります。

【10万円の特別控除の場合】

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(損益計算書)

【55万円控除もしくは65万円控除の場合】

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)
  • 【赤字の場合】
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 第四表(損失申告用)

白色申告

白色申告の場合は、以下の書類を提出します。

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書

提出時に必要なその他の書類など

提出時にはマイナンバーカードがある場合はマイナンバーカードの写し、マイナンバーカードがない場合はマイナンバーが確認できる書類(住民票の写し、通知カードの写しなど)や身分証明書(運転免許証やパスポートの写しなど)が必要です。

他、必要に応じて

  • 医療費控除を受ける場合は医療費控除の明細書など
  • セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を受ける場合はセルフメディケーション税制の明細書など
  • 社会保険料控除を受ける場合は社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
  • 生命保険料控除、地震保険料控除を受ける場合はそれぞれ支払額などの証明書
  • 住宅ローン控除を受ける場合は住宅借入金等特別控除額の計算明細書などの必要書類

など、控除に必要な書類を添付します。

書類作成を簡単にするには

帳簿や確定申告書類をエクセルなどで全て自分で作成しようとすると、かなりの労力です。講師としてこれから講座や情報発信などに力を入れていきたい場合は、帳簿や確定申告にさく労力をなるべく減らしたいですね。

前述のように会計ソフト使用すると、帳簿の管理や確定申告書類の作成がスムーズにおこなえます。無料で利用できるもの、有料にグレードアップすると使える機能が増えるものなどさまざまですので、自分が使いやすい会計ソフトを探してみましょう。

確定申告書の提出方法

e-Taxを利用する

国税庁のホームページから申告書類を作成すると、e-Taxでの送信が可能です。会計ソフトで作成した書類も、e-Taxでの送信に対応して入れば利用できます。

インターネットに接続できる環境で、推奨環境を満たすパソコンやスマートフォンがあればe-Taxを利用できますが、事前準備が必須です。

ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
国税電子申告・納税システム(e-Tax)の概要や手続の流れ、法令等に規定する事項など、e-Taxを利用して申告、納税及び申請・届出等を行うために必要な情報やe-Taxについてのお知らせを掲載しています。

パソコンやスマートフォンにはあらかじめe-Taxの送信に必要なソフトまたはアプリをダウンロードしておく必要があります。

また、e-Taxでの確定申告に必要なものは、こちらです。

  • マイナンバーカード(e-Taxに必要な署名用電子証明書が組み込まれている)
  • パソコンから送信する場合はマイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダライタ、またはスマートフォン
  • 利用者識別番号
  • 暗証番号が記載された通知書

令和3年分確定申告(令和4年1月~)から、パソコンで申告書を作成する際に、スマホのアプリ(マイナポータルアプリ)でパソコン上に表示された2次元バーコード(QRコード)を読み取れば、マイナンバーカード方式によるe-Tax送信ができるようになりました。

※ QRコードは株式会社デンソーウェーブの商標または商標登録です。

二次元バーコード認証 | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
国税電子申告・納税システム(e-Tax)の概要や手続の流れ、法令等に規定する事項など、e-Taxを利用して申告、納税及び申請・届出等を行うために必要な情報やe-Taxについてのお知らせを掲載しています。

このようにe-Taxを利用するには事前準備が必要ですので、もれのないよう準備をしてください。確定申告の時期になると税務署やマイナンバーカードを申請する市役所などが混雑するので、早めの準備をおすすめします。

青色申告の65万円の特別控除を受ける際は、e-Taxでの確定申告提出が要件に入っていますので、青色申告をお考えの方は積極的にe-Taxを利用しましょう。

所轄の税務署に郵送する

確定申告書は「信書」にあたるので、「郵便物」(第一種郵便物)もしくは「信書便物」で送ります。宅配便やゆうパックなどの「荷物扱い」では送れませんのでご注意ください。

通信日付印が提出日となりますので、通信日付印が申告期限内になるようにしましょう。

所轄税務署に直接提出する

所轄の税務署に提出する際は、窓口に持参し提出するか、時間外収受箱への投函も可能です。

まとめ

確定申告の時期になると、頭を悩ませる個人事業主は多いでしょう。個人事業主・フリーランスとして、または副業として起業するからには、納税の義務を果たさなければいけません。

講師の方の確定申告は、青色申告と白色申告のどちらを選ぶか所得によってメリットが変わりますので、しっかり考えて選びたいですね。今回の記事を参考に、早めに確定申告の準備をしておくことをおすすめします。

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