舗装施工管理技術者とは|ライフラインを支える舗装工事現場には必須の資格

私たちが普段使っている道路や駐車場の地面は、舗装工事によって耐久性が保たれ、安全に利用できています。つまり舗装工事は、ライフラインを支える重要な工事。そんな舗装工事において高い施工技術を持ち、現場の指揮をとるのが舗装施工管理技術者です。今回は、舗装施工管理技術者の仕事内容や舗装施工管理技術者になるための資格試験、資格取得のメリットについて詳しく解説します。

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安全な通行に欠かせない舗装工事

歩行者や自動車の安全な通行に、舗装工事はとても重要。人々が行き来する道路や駐車場の地盤にコンクリートやアスファルトを敷き詰めることで、耐久性や耐熱性、防水性を高めます。また、舗装工事には、地面の安全性を保つだけでなく、景観に配慮した舗装や上下水道管の安全な収納なども考えた工事が求められます。

特に近年は、高度成長期に一斉に整えられたライフラインに老朽化が見え始め、道路や建築物を再整備する動きが高まっています。未来のライフラインを守るため、今後も至るところで舗装工事が行われるでしょう。

高い技術をもつ舗装施工管理技術者

舗装施工管理技術者は、施工を始めとする舗装工事の専門的な知識と高い技能をもつ人に与えられる称号。国家資格ではありませんが、国土交通大臣の認定を受けた民間資格です。社団法人日本道路建設業協会が行う舗装施工管理技術者資格試験に合格することでこの称号を得ることができます。

舗装工事は、道路関連の工事の中でも特に安全性が求められる工事です。従事者は、限られた作業空間や厳格な交通規制の中で的確に工事を遂行しなければなりません。そんな舗装工事において、施工計画を立て、全体の指揮をとるのが舗装施工管理技術者です。舗装施工管理技術者の仕事は多岐にわたり、現場の指揮だけでなく、舗装工事の施工管理から設計積算書の作成や実行予算書の作成まで行います。

舗装施工管理技術者の将来性

ライフラインの再整備、ニーズの多様化などから、近年は高度な舗装技術の活用や開発が求められています。そんな中で高水準技術をもつ舗装施工管理技術者はまさに即戦力。加えて、舗装工事業の入札参加条件に舗装施工管理技術者の設置が取り入られるケースも増えており、建設業界内でも有資格者を積極的に活用する動きが高まっています。舗装施工管理技術者資格をもっているだけで、建設業界での転職は圧倒的に有利になるでしょう。

また、ライフラインの老朽化が見られる一方で、舗装技術は年々進化。従来の舗装よりも排水性・耐久性を高めた「高機能舗装」は高速道路を中心に広がりを見せています。そんな中、舗装進化にともなう新たな技術・知識を身につけた若い技術者のニーズは確実に高まっています。

舗装施工管理技術者資格試験について

舗装施工管理技術者になるには、社団法人日本道路建設業協会が行う舗装施工管理技術者資格試験に合格する必要があります。合格したのち登録申請を行い、社団法人日本道路建設業協会会長による資格者証の交付を受けることで称号を得られます。

試験には1級と2級があり、1級が上位資格。1級のほうが難関であるため、当然2級よりも1級の有資格者のほうが高い技能を持っているという証明になります。そうなると真っ先に1級の合格を目指したくなりますが、1級の受験資格には、「専任の主任技術者としての経験」もしくは「指導監督的実務経験」が必須。この経験をもたない人や実務経験が浅い人は2級からの受験となります。

以下で、舗装施工管理技術者2級の試験概要を解説します。

受験資格

舗装施工管理技術者2級の受験資格は学歴や取得資格などにより異なります。いずれにしても実務経験は必須となっていますが、その必須経験年数が学歴等で大きく異なるので、事前に受験資格は確認しておきましょう。日本道路建設業協会のホームページで、受験資格ほか試験の詳細情報を確認できます。

http://www.dohkenkyo.or.jp/pavement/sikaku_top.htm

試験日程・試験会場

試験は2級・1級ともに年に1回、6月の第4日曜日に行われます。試験会場も2級と1級共通で、札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10か所です。

受験申し込み受付期間は2月中旬~下旬にかけてのおよそ2週間。この期間に申し込みしなければ受験できません。受験を希望する年の申し込み期間は確実にチェックしておきましょう。申し込み期間や申し込み方法も日本道路建設業協会のホームページで確認できます。

また、受験日などに変更があった場合も日本道路建設業協会のホームページで発表されます。ホームページは随時確認し、最新情報をチェックするようにしましょう。

http://www.dohkenkyo.or.jp/index.html

試験内容

試験には択一式の一般試験と記述式の応用試験があります。以下で、2級の試験内容について紹介します。

<一般試験>

(1)舗装工事に必要な法令に関するもの

(2)施工に必要な土木技術および設計図書に関するもの

(3)設計、材料、施工および補修に関するもの

(4)施工計画の作成方法および工程管理、品質管理、出来形管理、安全管理等に関するもの

※マークシートの四肢択一式で40問

<応用試験>

・施工現場における経験および設計、材料、施工方法、補修等に関して記述

※経験記述問題(必須解答1問)、穴埋め記述式問題(4問中3問選択解答)

1級も、2級と同じく一般試験と応用試験になります。一般試験は1級・2級で同じ項目。1級の応用試験では、施工現場での経験をもとにした、工事名や工事内容についての課題や対策を問われます。

合格基準は、1級・2級ともに、一般試験:60%以上の得点、応用試験:60%以上の得点となっています。一般試験のみに合格した場合は、申請により翌年の一般試験が免除となります。

試験の難易度・合格率

2021年度の舗装施工管理技術者試験2級の合格率は48.0%。それ以前の年は26.2%~54.0%とだいぶ開きがありますが、平均で見ても合格率は30%を超えているので、決して難易度が高い試験ではないでしょう。ただ、1級になると合格率は平均10%台まで下がり、難易度はぐっと高くなります。

舗装施工管理技術者試験に合格するには

試験に向けての学習法は、大きく「独学」か「学校・講座での学習」に分けられます。効率的に学習を進めていくためには、自分に合った学習法を選ぶことが大切です。

独学

舗装施工管理技術者試験は基本的に過去問をベースとした問題が出題されます。過去問を重点的につぶしていけば、独学でも2級合格は難しくないでしょう。独学での目安とされる学習時間は2級で2か月以上、1級で3か月以上。資格試験の中では比較的短期間で合格を目指せますが、より効率的に学習するにはテキストや問題集選びも大切です。市販のテキストを比較し、自分にとって使いやすいものを見つけましょう。

舗装施工管理技術者試験過去10年間の全問を収録したこちらのテキストは過去問の把握に大変便利。1冊で一般試験と応用試験の両方に対応しています。

通信・通学講座・学校

通信講座や通学講座ではより試験対策に特化した教材を用意していることが多く、一般に販売されているテキストで学習するよりも効率的に試験合格を目指すことができます。また、記述式問題などは専門の講師に添削してもらうことで、今の課題や回答のコツも掴みやすくなるでしょう。

ただ、舗装施工管理技術者2級試験の講座はそう多くなく、大手のユーキャンやTACなどでは設けられていません。建設関連の資格に強い日建学院も、1級の講座のみとなっています。現時点では、株式会社技術検定研修協会など一部協会で2級の講座が設けられているようです。そのほか、建設技術者養成センターや各県の建設業協会で日時を指定した講習会が行われることも。地元の建設業協会に問い合わせてみるのもよいかもしれません。

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まとめ

確かな技能と経験で舗装工事の指揮をとる舗装施工管理技術者は、まさに舗装工事のスペシャリスト。近年は、舗装工事の主な発注元である国土交通省や地方自治体でも舗装施工管理技術者制度を積極活用する動きが広がっています。今後ますますニーズが高まると考えられる舗装施工管理技術者、土木・建設業界でのキャリアアップを目指す人にはぜひチャレンジして頂きたい資格です。

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