
企業のコンプライアンスを守り、社員のITリテラシーを高めるため、新入社員・中堅社員研修の一環としてITパスポートの取得を奨励する企業が増えています。
新卒大学生の就活や既卒者の転職活動でも、ITパスポートを取得して履歴書のアクセントにしようと考えるケースも増えているようです。
基本情報処理技術者など数あるIT系の資格・試験のなかでITパスポートの位置づけとメリットはどこにあるのか?
ここではITパスポートの内容と取得方法、受験対策について紹介します。
ITパスポートとは?
ITパスポート(略称:iパス)は2007年に制定された国家試験です。
OS、アプリケーション、プログラミングなどコンピュータにかかわる情報処理技術者試験の中のレベル1、入門編の試験です。
ITパスポートはビジネスのなかで必要とされるIT知識のレベルを測定するもので、経済や一般常識等幅広い知識も問う試験となっています。
また、ITパスポートの試験はCBT(Computer Based Testing)方式でコンピュータを利用して受験します。
年齢層も幅広く(小学生の合格者も)、事務系・技術系/文系・理系を問わず受験できて、ITに関する正しい知識が身に着き、現代のビジネス社会で活躍する能力を証明できるため人気があります。
ITパスポート取得のメリット
ITパスポートの公式サイトでは、ITパスポート取得のメリットとして、下の3点を挙げています。
試験勉強を通じて、幅広い分野の基礎知識を取得可能
単にITに関する知識だけではなく、情報セキュリティや情報モラル、企業コンプライアンス、法令遵守、経営戦略、財務など幅広いビジネス知識が身に付きます。
試験勉強を通して「社内の情報システム部門とのコミュニケーションが円滑になった」「顧客とのコミュニケーションが円滑になった」などの効果が報告されています。
組織のIT力向上に!コンプライアンス強化に!
個々の社員がITリテラシーを身に着けることによって、会社全体のIT力も増していきます。
情報リテラシーやセキュリティが必要とされる現在、多くの企業で新入社員研修・中堅社員研修に活用されているのです。
就職、進学などで役立つ国家試験
現在の企業は社員が入社する段階でITの基礎知識を求めるようになっています。
ITパスポートが注目される理由はここにもあります。
経済産業大臣が認定する国家資格のITパスポートを取得していれば「ビジネスに必要なITを普通に使いこなせる」人材と認める企業の価値観も広がってきました。
これにもとづき、採用基準にプラス評価とする企業が増えています。
入社後に取得した社員に対して毎月の手当を支給して給与をアップさせる企業も多いようです。
「幅広い知識のあるゼネラリスト」としての基礎を評価する、それがITパスポートの特徴です。

ITパスポート試験の内容
ITパスポート試験は120分間に4肢択一問題を100問回答する方式になっています。
1,000点満点の試験で、総合評価60%以上、かつ、「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3分野すべてに分野別評価満点の30%以上正解が合格基準となっています。
ストラテジ系の問題は、
1.企業と法務
2.経営戦略
3.システム戦略
マネジメント系の問題は、
1.開発技術
2.プロジェクトマネジメント
3.サービスマネジメント
テクノロジ系の問題は、
1.基礎理論
2.コンピュータシステム
3.技術要素
……の各分野から出題され「ビジネスにおける戦略やマネジメントを理解した上でIT技術を使いこなす」スキルが問われているようです。
ITパスポート試験の出題範囲
ITパスポート試験では、試験の出題範囲を定めたシラバスを公式サイトで公開しています。
シラバスは随時見直しが行われており、ITパスポート試験を運営・実施する情報処理推進機構(IPA)によると、例えば2022年4月より適用されているVer.6.0では以下の点が変更されています。
(1)「期待する技術水準」
高等学校の共通必履修科目「情報Ⅰ」に基づいた内容(プログラミング的思考力、情報デザイン、データ利活用 等)を追加しました。(2)「出題範囲」及び「シラバス」
高等学校の共通必履修科目「情報Ⅰ」に基づいた内容(プログラミング的思考力、情報デザイン、データ利活用 等)に関連する項目・用語例を追加しました。なお、情報モラル(情報倫理)については、前回の改訂(「ITパスポート試験 シラバス」Ver.5.0)で先行して追加しています。(3)出題内容
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20211008.html
プログラミング的思考力を問う擬似言語を用いた出題を追加します。また、情報デザイン、データ利活用のための技術、考え方を問う出題を強化します。なお、試験時間、出題数、採点方式及び合格基準に変更はありません。
擬似言語を用いた出題については、擬似言語の記述形式及びサンプル問題も公開しました。
最新のシラバスをチェックしてから学習に臨みましょう!
ITパスポート。どれぐらい学習したら合格できる?
系列ごとに約50時間学習すれば、かなり安心!
前述のように、ITパスポートの試験は「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3つの系列から出題されます。
その年によって難易度は異なりますが普通に社会人経験のある人が受験する場合、一系列あたり50時間をめざしてみてはいかがでしょう?
1日に2時間で25日×3系列。
大体3ヵ月の準備で足りる計算になります。
しかし、これはあくまで試験に関する知識がなかった場合。
もし情報系の学校卒、またはIT企業の現場で働いている……など、情報系の知識がある人ならテクノロジ系の知識が不要になるので、ストラテジ系とマネジメント系に集中すればいいでしょう。
逆に企業で戦略的な企画部門や総務・人事部門で経験を積んできた人はテクノロジ系を徹底学習! 学習時間も短縮できます。
費用は数千円から数万円まで
ITパスポート受験のために通学コースを用意している専門学校もありますが、多くの受験者が学生や働いていて多忙なためか通信教育のラインアップが充実しています。
資格の学校TAC、ユーキャンなどが提供する通信教育教材は3万円~5万円程度。
iStudeyやヒューマンアカデミーグループのeラーニングなら数千円~1万数千円ぐらいで受講できます。
「自分は意志が強い!」と思う人なら独学も有効。2~3千円程度の受験対策本を徹底研究すれば5千円以下の投資で取得も不可能ではありません。
テキストもたくさん出版されています。
公式ホームページでは過去問題も公開されています。
過去問を使った模擬試験は、こちらから
ITパスポートの公式サイト
疑似体験ソフトウェアがダウンロードでき、自宅や会社のパソコンを使って試験そのままの雰囲気で模擬試験を体験することができます。
試験時間も本試験と同じ120分。
終了と同時に自動で採点も行われます。
試験を前に少しでも多く受験して問題に対する「勘」をつかんでいただきたいと思います。
このような模擬試験は点数に一喜一憂するよりも「間違った問題」をそのままにしないのが大切。
確実に復習して知識の穴をつぶしておきましょう。
コエテコカレッジ問題集
過去5年分の過去問500問を全て収録、スキマ時間でアプリ感覚でサクサク練習できます
- 一問一問解説が丁寧
- インプットとアウトプットの両方ができる
- スキマ時間にもこなせる
- 分野別の問題集があるから苦手分野対策も可能
- 全分野、出題年度はランダムに500問から5問ずつ
- 各分野にわけて、出題年度はランダムに5問ずつ
- 出題年度ごとで100問順番に
- 使用者のレビューが見られる
ITパスポート今年の日程は?
ITパスポートの試験は年2回問題が変更になりますが、一斉受験ではなくCBT(Computer Based Testing)方式でほぼ毎週末に受験できます。実際の試験は専門学校やパソコンスクール等を会場に行われますので、お近くの受験会場を探してみてください。
合否結果も当日確認できます。
会場と試験日時・空席などはこちらから↓
受験料は7,500円(税込)
その他の受験要項はこちらから↓
ネットで見つけたITパスポート受験レポート
「もとひさ」さんはわずか2回目の受験で合格!
参考書2冊を徹底学習したそうです。
巷では合格までは100時間程度の勉強が必要とか、何万円もする講座を受講すべきとかいう方もいるようですが
ITに対して苦手意識がなければ比較的短期間で且つ投資も少なく取得できるということが身を持って分かりました。
https://ameblo.jp/motohisa-ichikawa/entry-12353688496.html
「しもむら」さんは約2週間の学習で合格した強者。
参考書を1冊購入し、YouTubeで見られる無料講座も利用しました。
ITパスの試験では、過去問からの出題が一定数あります(2割くらい)。他にも文章を変えただけでほぼ同じ内容の問題が多いので反復練習をどれだけ出来るかが合格のカギとなってきます。
https://note.com/kazu_33fb0621/n/na86470812410

まとめ:ITパスポートの学習法の最短距離は、知識+経験で
ITパスポートの合格率は例年約50%前後で推移しています。
情報処理技術者試験のなかでは難易度が低い部類とはいえ、IT初心者にとってはかんたんな試験ではありません。
この試験の特徴は直接ITと関係のないビジネス的な知識を多く問われる点にあるといわれています。
逆にいえば、企業の企画部門や人事部門で働いている人なら学ばなくても知っているビジネス知識も多く出題されます。
合格者は22歳が最も多いですが、この点から見ると、学生時代に取得していなくても企業に入って何年か経験を積んでからの方が短期間で必要な知識を身につけられるかもしれません。
さまざまなビジネス経験が合格に大きく役立つユニークなIT関連の試験で、事務系の業務でも、すぐに役立つためチャレンジする意義も大きいと思われます。
MOSの資格はこちら
